ビジネスの世界では、戦略結果がいい方向に行くことで企業が大きくなっていきます。
企業を大きくするためには、そこで働く人たちの人材育成がとても重要です。人材育成は、技術的な面やマナーなど当然学ぶべきこともありますが、精神的な人材育成も近年では必要だと言われています。
精神面での人材育成を手助けする方法として「マインドセット」が、注目を集めています。
マインドセットは心理学での専門用語なのですが、ビジネス界でもこのマインドセットを人材育成の場で使用するようになりました。
ここでは、マインドセットがどんなものなのか、なぜビジネス界で必要とされているのかなどをご紹介していきます。
心理学用語であるマインドセットとは
マインドセットとは、「人間が持っている考え方や価値観、心理状態」のことをいいます。
人間とは言っても人それぞれ生まれた環境や育った環境も違うので、持っているマインドセットも人それぞれということになります。
最初に持つマインドセットは母親のおなかの中にいる時でしょうか。ただ、お腹の中にいるときのマインドセットは産まれると忘れてしまうので、親から受け継ぐ性格や価値観などがその人の考え方や価値観、心理状態に影響を与えているでしょう。
また、成長とともに学校に行ったり習い事やクラブ活動などを通して、外部の人達との交流が増えていきます。そうすると、周りにいる友人や先生、先輩などの影響を受けるようになり、人間のマインドセットは変化していきます。
人生の中で、より多くの時間を過ごした人や目標とする人などのマインドセットを受け継ぐことが多いでしょう。
マインドセットはどうやってできていくのか
マインドセットは、人生の中でより自分に影響を与える人からの考え方や価値観を受けやすい傾向にありますが、具体的にどんなことがマインドセットを形成しているのかをご紹介していきます。
人生において実体験や経験をすること
自分自身が経験した、実体験は確実にマインドセットの形成要素になります。
いろんなことに興味をもって積極的に体験していく人は、たくさんの失敗や成功を経験できるのでマインドセットも強くなり、常に前向きに考えられるようになります。
反対に、あまり新しい経験や体験を好まず引っ込み思案になっていると、人生においての経験も少ないため弱いマインドセットが形成されてしまいます。
小さな失敗すらも恐れ、自分から何もできなくなってしまうこともあります。
自分勝手な思い込み
「あの人は気を付けたほうがいいよ」と人に言われると、その人は「怖い」という印象を受けあまり自分から近づいていきたくないですよね。
まわりの人やテレビ、ラジオなどで言っていることを鵜吞みにして思い込んでしまうこともマインドセットに影響を与えます。
実際に経験しているわけではないのに、人から言われてそうだと思い込んでいると、その思考回路を修正するのは難しくなかなかいい方向に考えることができなくなってしまいます。
また、自分が一番身近にいる人からの影響も大きく、特に小さいころからおやに厳しくしつけをされた人は、親の価値観をそのまま受け継いでいることも多いです。
自分で経験したことではないけれど、親に言われてきているので「これはこうでないといけない」という思い込みに陥りやすくなります。
自ら察知する能力
人には、言葉や行動で形成されるマインドセットもありますが、その場の雰囲気で形成されるマインドセットもあります。
よく会社に入ると「暗黙のルール」というものが存在しているのを知りませんか?特に明記した規則ではないのに、この会社の中では誰もが知っているルールがあったりするのです。
例えば、朝のお茶くみは女性の仕事だったり電話を最初に取るのは女性社員だといった、別の観点からすると差別的にも感じますが、そのような決まっていないけれど誰もが守っているルールというものがあります。
その暗黙のルールが、マインドセットの形成要因になることもあります。
暗黙のルールはその場所でしか通用していないため、転職したり引っ越しをするとまた違うマインドセットが形成されることになるでしょう。
マインドセットの種類について
マインドセットには、ポジティブ思考のマインドセットとマイナス思考のマインドセットの2種類が存在します。マインドセットには、いいものと悪いものがあるということですね。
それぞれのマインドセットについて、説明していきます。
どんなことにも前向きなマインドセット
どんな不利な状況にあっても、どうにかしていい方向に持っていこうとする前向きなマインドセットを「成長志向型」と呼んでいます。
成長志向型のマインドセットをもった従業員が多い企業では、企業を大きくするためにどんな戦略を立てればいいのかアイデアをどんどん出し合い、失敗を恐れることなく行動して新たな戦略を進めていけるので企業の成長が早いです。
どんな苦しい時でも、みんなが支えあって励ましあって協力して取り組んでいけるので、団結力も強まり一つになって目標に向かって努力することができます。
企業が一つになって前を向いて頑張ることができるので、この企業は発展していきます。
慎重かつ後ろ向きで行動が伴わないマインドセット
成長志向型と反対の意味を持つのが「停滞志向型」と言います。
新しいアイデアに対して「失敗したらどうするんだ」「負債は許されない」といったマイナス面ばかりを考えて、なかなか行動に移せないのが停滞志向型の人です。
停滞志向型の人が多い企業は、新しいことに対して行動を起こすのが苦手で、失敗した時のことばかりを心配してしまいます。
新しいことに対する行動を起こせないと、その企業は成長することができません。
何か悪い状況になった時でも誰も解決策を見いだせず、「誰が問題を起こしたんだ」「余計なことをしたからこうなってしまったんだ」と責任のなすり付けあいばかりで前に進めません。
もし、企業に一人でも成長志向型の人間がいたとして、必死にアイデアや対策方法を打ち出したとしても、周りの人間が停滞志向型だとそれを行動に移すことすら許してもらえないので、結局は成長志向型の人間までつぶしてしまうことになります。
成長志向型マインドセットがもたらす影響とは
マインドセットの種類についてご紹介しましたが、マインドセットは成長志向型の方がいいのはお分かりいただけますよね?
成長志向型のマインドセットをもった人間が多く在籍する企業が、なぜ発展できるのかというのは、あるサイクルがうまく回っているからなんです。
そのサイクルとは「PDCAサイクル」といって、
P=Plan(計画)
D=Do(実行)
C=Check(評価)
A=Act(改良)
この4つのサイクルを循環させていっているからなのです。
計画を立てて実行し、それに対する評価をしてさらに改良することで成功に導くことができます。
この循環が、成長志向型のマインドセットを持った人が多い企業ではしっかりなされているので、企業全体がうまく回り発展していくことができます。
マインドセットの重要性
ここまで話せば、なぜビジネスにマインドセットが必要なのかということはおわかりいただけていると思います。
人材育成に技術やマナー意外に心理的要因であるマインドセットを導入することで、どのような影響をもたらすのかをまとめとしてご紹介しておきます。
前向きな思考を持った人材が増える
マインドセットは環境に左右されやすい特徴を持っているので、企業に入社した時点で成長志向型のマインドセットを植え付けられるよう指導しておきましょう。
そうすることで、企業全体で成果を出そうとあらゆるアイデアが出てくるでしょうし、困難に直面しても一人一人がどうすればいいのかを考えることができ、みんなで協力して困難に立ち向かうことができます。
こうやって励まし、協力し合いながら働くことで団結力も生まれ、企業自体が発展していくでしょう。
従業員一人一人のスキルアップにつながる
成長志向型のマインドセットは、しっぱいを恐れずに果敢に新しい道を開拓していく心を育てるので、従業員それぞれのスキルアップにもつながります。
一人一人のスキルが上がれば企業全体のスキルも上がり、企業はどんどん大きくなっていくでしょう。