「複利」って何だろうと思っている人は多いと思います。
投資の中であまりなじみのない言葉ですよね。
でも、この言葉を知っておくことには大きな意味があります。
複利とは
複利とは、元本に対して付与された金利に対して利子がつくことをいいます。
具体的に説明すると、あなたが100万円で商品を購入しました。その商品が1年後に5%の利子が付いて105万円になった時、5万円利子がつきましたよね。その5万円の利子についてもさらに利子が付くのです。
そう考えると、長期間運用することで利子がどんどん増えていきますよね。
これが複利の効果です。
100万円を年利5%で運用していると1年後に105万円になり、105万円を年利5%で運用すると1年後は110万2,500円になります。この110万2,500円を年利5%で運用すると1年後に115万7,625円になります。さらに115万7,625円を年利5%で運用すると1年後には121万5,506円になります。
当初100万円の元本が4年後には21万5,506円増えていることになります。
仮に年利5%での例を挙げてみましたが、この年利が大きくなれば複利の効果は大きくなりますし、運用期間が長くなればそれだけ複利の効果は大きくなります。
早い時期から運用を始めておくと、長期間の運用が可能になるので複利の効果をたくさん受けることになります。
しかし、逆に複利の効果はマイナス的にも発生します。「雪だるま式借金」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、それは複利の効果によるものです。
複利は運用利益に対するものもありますが、借金に対する利息も複利になるのです。
キャッシングや住宅ローンなど借り入れを行うときに利息が発生しますよね。
その利息についても実は利息がついており、借金期間が長いと利息に付く利息が増えることから運用とは逆の複利の効果が発生します。
仮入れたお金は計画的になるべく早く返していかないと、毎月利息だけを支払って借金が減らないどころか支払っても支払っても借金が増えていくということになるので注意が必要です。
複利の効果について、元本が2倍になる期間を計算する「72の法則」というものがあります。
72÷年利=元本が2倍になる期間
という計算方法なのですが、具体的に数字を入れてみましょう。
年利6%の運用利益が出る商品を購入すると、
72÷6=12
となり、年利6%で運用し続けると、12年後に元本が2倍になるという予想になります。
複利の効果に影響を与える年利について、年利って実際どうなのか気になりますよね?
年利は選ぶ商品によって全然違います。利回りがいい商品もあれば少ない商品もあり、マイナスになってしまう場合もあります。
投資方法には、低リスク高リターンを狙うヘッジファンド投資の方法がありますが、高額な投資費用が必要で、富裕層に人気のある投資方法です。投資初心者におすすめなのが、リスクが低めで手数料も安く比較的安全なインデックス投資をおすすめします。
先ほど72の法則について説明しましたが、72の法則は元本が2倍になる計算式です。
複利効果の計算式もありますが、金融庁のホームページに掲載されている資産運用シミュレーションを参考に計算してみてください。年利が大きく、資産運用期間が長いほど複利効果が大きくなることを実感できることでしょう。
平均年間利回りについて
つみたてNISAで扱われている金融商品の年利は、証券会社やネットの記事などにも「平均年間運用利回り」という形で確認することができます。
ただ、平均年間運用利回りがいいからといってその商品は毎年同じ運用利回りを出しているかというとそうではありません。
有名な安定商品S&P500を例に挙げてご説明します。
S&P500は92年間の実績を誇る商品ですが、その92年間の平均年間利回りは10%といわれています。
しかし、実際年間利回り10%を出したのはS&P500が売り出された92年間の中でわずか6回なんです。
この数字を聞くと、平均年間利回りは10%だけれども、毎年10%ではないということがわかりますよね。実際の毎年の利回りは変動がありますし、S&P500でいえば、年間利回り30%という年もあるんです。しかし、逆にマイナス40%の年も存在しています。
なので、平均年間利回りはあくまでも平均であることを頭に入れておきましょう。
景気には波があり、いい時もあれば悪い時もあります。
景気の波は回復から好況、後退から不況と山あり谷ありの線を描いています。
この景気の波は短くても3年半から長いもので50年かけて循環しているといわれています。
なので、景気の波が始めの位置に戻ってくる50年間の運用利回りを知らなければなりません。
92年の実績を誇るS&P500についても、92年間というデータをもとに平均年間利回りが10%という数字になっているわけで、今年来年の年間利回りが10%あるかというとそうではないということは知っておかなければなりません。
投資経験のない人だと、平均年間利回りだけで商品の利回りがいいか悪いかを判断しがちなので、自分が購入しようと思っている商品は、全体的な年間利回りを確認しつつ、近年の景気状況を踏まえたうえで判断していきましょう。
つみたてNISAに関しては、最長20年間というNISAに比べると比較的長期にわたって投資することができますが、景気の波のサイクルである50年に比べると短い期間です。
先ほどから安全だといっているS&P500についても、年利30%の時もあればマイナス40%だった時もあるように、つみたてNISAに加入した時期から20年後に年利がよくなっているという保証はどこにもありません。
「安全だといわれたから購入したのに20年たって決済したらマイナスになっているじゃないか!」といわれてもどうしようもないのです。
つみたてNISAは期間が長い分比較的安全ではあるけれど、絶対ではないということはしっかりと理解しておきましょう。
それでは、つみたてNISAをしてもマイナスになるだけで全然意味がないと思うかもしれませんが、そうではありません。
リスクはリスクとして知っておかなければならないのでご説明しました。
余りいいことばかり聞いたので、貯金を全てつみたてNISAにしたところ、大損をしたということにならないよう、真剣に考える必要があるということです。
つみたてNISAはとてもいい制度です。
比較的安全な投資信託で運用利益は非課税、投資購入にも手数料がかからない、魅力的なものです。
ただ、大きな利益を得られると過信せず、自分でしっかり資産管理をして運用してほしいです。
S&P500は92年の実績を誇るとお話ししましたが、この92年間には経済的大打撃を受けた石油ショックやリーマンショック、世界大戦も含まれています。そんな不況の中でも生き残り、現在平均年間利回り10%を打ち出しているのだから、ここまで安定した商品は他にないということなのです。
毎年年間利回り10%を達成することはありませんが、他の商品に比べると圧倒的に安全な商品であるということはご理解いただきたいです。
S&P500について、平均年間利回りが10%とお話ししていますが、他の商品はどうなのでしょうか?
平均年間利回りには2つの算出方法があり、
①算術平均利回り・・・年間利回りを単純に平均化した値
②幾何平均利回り・・・インフレ率を加味した平均値
で計算していきます。
算術平均利回りは、毎年の年間利回りを足して合計から経過年数を割ることで出てくるのでわかりやすいですよね。
幾何平均利回りは、経済成長を考慮しています。
昔と今を考えればわかると思うのですが、昔は賃金も安ければ物価も安かったです。でも、経済成長によって物価も上昇し、昔と今のお金の価値が変わってきています。
その価値変動も考慮しているのが幾何平均になります。
この2つの計算式から代表的な金融商品の年間平均利回りを算出すると、S&P500は平均年間利回りは10%であり、幾何平均では7%程度です。
また、50年間の実績があるNASDAQの平均年間利回りは12%で幾何平均では8%程度になります。さらに100年間の実績があるダウの平均年間利回りは9.9%で、幾何平均は6.8%程度です。
日本で有名なTOPIXや日経平均などについては、S&P500やNASDAQなどよりも年利は3%ほど低い利回りを実現しています。
つみたてNISAには、金融庁が厳選した比較的安全な商品が取り揃えられていますが、投資経験がない人にはS&P500に連動している金融商品がおすすめです。
通常投資信託を始めるときには、投資信託を購入するときに「買い付け手数料」がかかります。また、購入した商品を売却するときに「解約手数料」と中途解約手数料である「信託財産留保額」がかかります。
更に、商品を保有している間は「年間の信託報酬料」がかかってくるので、手数料だけでも結構な出費になります。
つみたてNISAにもこのような手数料が発生するものもありますが、つみたてNISAの魅力は、つみたてNISAで購入できる商品の半数は買い付け手数料が無料なんです。
また、中途解約手数料である信託財産留保額がない商品もあります。
つみたてNISAで購入する商品を選ぶ時には、このような手数料がかからない商品を中心にピックアップしていくといいでしょう。
また、年間の信託報酬料についても、通常の投資信託をするよりもかなり低価格の手数料しかかからないので、無駄な出費を抑えることができます。
これから投資を始めたい人には最高に魅力的なものだということがおわかりですよね。
「買い付け手数料がかからないから信用できないんじゃない?」「年間の信託報酬料が安すぎるけど大丈夫?」と心配になりがちですが、買い付け手数料がかからなかったり年間の信託報酬料が安いからといって安全性にかけるということはありません。
つみたてNISAは手数料がかからないようにするための国の政策なので、安心して取引できます。
次の章ではつみたてNISAの商品を購入するときに、投資信託とETFの違いや特徴、どちらがいいかなど詳しくご紹介していきますね。