第4章 つみたてNISAで購入できる投資信託とETFについて

つみたてNISAで取り扱っている商品には、投資信託とETFがあります。

ETFと投資信託は、どちらも投資信託という商品なのですが、ETFは上場なのに対して、投資信託は非上場という違いがあります。

ここでは、投資信託とETFについて詳しくご説明していきます。

ETFについて

チャートと投資

まず、ETFについてですが、ETFは株式と非常に特徴が似ています。

ETFは、証券会社で購入することができ、証券取引所が取引をしている時間に売買が可能です。株式のようにリアルタイムで購入することができるので、1日のうちで価格が変動する中で安い時を狙って購入することができます。

注文方法は売価単位ごとに注文をし、自分が欲しいときにすぐ購入できる成行注文や、自分が購入したい単価を設定してほしい商品の単価が希望単価になった時に購入する指値注文もすることができます。

株価は1日を通して変動があるので、その1日の変動を狙って購入したいのであれば、ETFの方がおすすめです

運用方法は特定の指数への連動を目指しており、パッシブ運用をしています。日経平均株価と連動すれば、株価と同じような動きをします。

手数料も、投資信託に比べると安いので取引しやすいといえます。

ただ、投資信託よりもETFは選択肢が少ないので、限られた銘柄にしか投資することができないということも理解しておきましょう。

投資信託は、取り扱いのある場所が幅広くなります。ETFでは証券取引所でしか取扱いがありませんが、投資信託は証券取引所はもちろん、郵便局や信金、銀行でも取り扱っています。取扱いが多い投資信託なのですが、投資信託は種類も多いことからすべての金融機関でどんな商品でも買えるということではないので注意が必要です。

購入したい銘柄がその金融機関にはなくて買えなかったということもあります。

投資信託について

コストを下げる

投資信託の購入方法は、ETFのようにタイムリーに購入することができません。

投資信託の場合、基準価額というものがあり、その日1日は同じ価格で取引が行われます。なので、ETFのように1日の中で値動きがある変動には一切左右されませんどの時間に注文してもいいという点では、買いやすいのかもしれません。

ただ、投資信託の場合、注文したその日に購入することができず、早くても翌日にしか確定されません。注文した日の基準価額が採用されるのではなく、注文が確定された日の基準価額が適用されるので、注文した日の基準価額はあくまでも参考までにしておく必要があります。

注文して翌日でも基準価額は何百円も変わることがありますし、金曜日に注文すると翌週の確定になるので大きく基準価額が変わっていることもあるため、購入したい金額で購入できないというデメリットもあります。

投資信託はETF同様、パッシブ運用のものもありますが、パッシブ運用を上回るアクティブ運用ができるものも存在しています。

取引ができる商品も多彩にあることから、選択肢が広がる運用方法です。

手数料は、ETFに比べて投資信託の方が高いです。ただ、選ぶ商品によっては、「ノーロード」といわれる手数料がかからない商品ETFと同じくらい安い商品もあるので、ETFよりも安い手数料を実現することもできます

ETFと投資信託の特徴をご紹介しましたが、投資初心者の人には投資信託をおすすめしています

具体的な商品としては、SBI証券のSBI.バンガード・S&P500インデックス・ファンドと三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式です。

これらの投資信託は、買い付け手数料無料、解約手数料無料、信託財産留保額無料という手数料が一切かからない優良な商品です。唯一かかる年間の信託報酬額も投資信託の中で最安値を維持していますので、「つみたてNISAとはいってもどんな銘柄を選べばいいかわからない」という人にはこの商品を購入してみてください。

 どっちを選ぶ?

ポイント

一見すると、1日のうちの価格変動に対応して決まった価格で購入できるETFの方がいいように思いますが、運用方法は長期的にみるとあまり変動はないように思います。

なので、手数料がより安い、長期運用に適している投資信託がおすすめです。

何より、つみたてNISAではETF商品は数少ないのに対し、投資信託の商品はたくさんあるので選択肢を広げられるのも魅力です。

あとは、個人の取引の希望により、ETFを選ぶのか投資信託を選ぶのかを決めてください。

投資経験のない人がつみたてNISAの商品を選ぶなら投資信託の方がおすすめという話をしました。それは、投資経験のない人は投資についてよくわかっていないので、頻繁に取引を行うことがないと思います。そういう購入してほったらかしにしているような人には投資信託の方が利率が高くなる可能性があるからです。

つみたてNISAETFを選んでも投資信託を選んでも、選ぶ商品によっては手数料や運用にかかる費用に大差はありません。

分配金について

ETFと投資信託には分配金についての違いがあります。

ETFは購入者に直接分配金が支払われます。

分配金が支払われるときに20%の税金が差し引かれて支払われるので手元に入るのは80%になります。

その分配金を再投資しようと思うと、自分で再投資の手続きをしなければなりません。

<投資信託には購入者に直接支払われる分配金はなく、そのまま再投資に回されるので、ETFのように分配金に20%の税金が差し引かれることもありませんし、自動的に再投資に回されるので手間も省けます。

投資信託をするなら国内の投資信託を円建てで購入することをおすすめしています

海外のETFを購入するのは、投資初心者には面倒だと感じることが多いと思います。

海外のETFを購入する場合には、円からドルに両替をしなければなりません。

円からドルに両替をするときに手数料がかかります。

円からドルに購入して海外のETFを購入すると、分配金はドルで受け取ることになりますが、その時アメリカの配当金にかかる税率10%が差し引かれて受け取ります。

更に日本で受け取るときに日本における配当金が20%差し引かれて手元に来るので、二重課税がかけられることになります。

円からドルに両替をして海外のETFを購入し、受け取るときもドルから円にするという手間がかかるうえに二重課税がかけられるって納得いきませんよね。

もちろん、「外国税額控除制度」といって、海外で差し引かれた税金分が確定申告で返ってきます。

しかし、これもまた手続きをしなければなりません。

証券会社から受け取る「年間取引報告書」や「支払通知書」に記載されている内容を確認しながら、「外国税額控除に関する明細書」を作成して確定申告をしなければなりません。

配当金の額が大きければこれだけ面倒な手続きをしてでも、二重課税された分を取り戻そうと思いますが、配当金が少ないと、たかだか配当金に二重課税された10%にこんな面倒な手続きをしてまで取り戻したいと思う人はあまりいません。

実際私もそうですが、二重課税された税金分を取り戻すために労力を使うほうがかえって時間を無駄にしているような気がしてしまいます。

なので、このような面倒な手続きから解放される投資信託にすることをおすすめします。投資信託なら分配金についても自動で再投資されるので、購入さえすれば後はほったらかしで大丈夫です。

つみたてNISAに関しては、つみたてNISA口座から購入する海外のETFについて、配当金に現地の税金はかからないようになっていますので、つみたてNISAETFを検討しているのであれば安心して購入できます。

ETFと投資信託について、ぞれぞれの特徴や購入方法、手数料など詳しくご説明しましたので、ご理解いただけたと思います。

ETFは、株や投資経験者であれば、リアルタイムに売買ができるので魅力を感じられると思います。一般でETFの個別銘柄を購入してみたいという意欲があるならいいと思いますが、つみててNISAだと、海外の個別銘柄を購入することはできませんし、ETFの商品自体が少ないので、つみたてNISAETFを希望しているのであれば、選択できる銘柄を確認したうえで購入しましょう。

投資信託は、商品数も多く、いろんなものを選ぶことができます。

ただ、手数料がETFよりも高い傾向があるので、手数料もしっかりと確認し、ノーロード商品やETF並みに手数料が安い銘柄を選ぶといいでしょう。

どちらもそれぞれに魅力はありますが、投資未経験でこれからつみたてNISAを始めようという人であれば、面倒なことは一切なし、手数料も安い商品が取り揃えてある投資信託を選んで投資してみましょう。

5章では、つみたてNISAの具体的なシミュレーションをご紹介していきますね。